黒姫
「はぁ……別に怒ってないけどな、でも何でそんなことになったんだよ?」
疲れた風に溜め息をついた透に、恐る恐る言う。
「えーっと……なんか女子2人に強制連行されました?」
「何で疑問形なんだ」
「うぅ……」
頑張れば振りほどけそうだったから、なんて絶対言えない。
確かに頑張れば振り切れた気もするが、それはそれで後が面倒臭い気がしたのだ。
ならば早いところ終わらせてしまおうと。
ただ、それを素直に言うと、また透に怒られる気がする。
むしろ絶対に怒られる。
「過保護だよ、透」
「どこかの誰かが心配かけるせいでな」
「うぐ……」
反撃を試みた瑞姫だったが、普通にブーメランだった。
言葉が痛い。