黒姫

「……で、何でこんな状態?」
「全身痣だらけな瑞姫が悪い」
「これだけは納得してたまるか」


瑞姫は今、自分が本当に女なのかを疑いたくなった。
むしろ目の前にいる透は私が女だと思っているのだろうか、と半ば本気で考える。



「なんで同い年の男に服たくし上げられてるの……」
「脱がせないだけマシだろ」
「ねえ透、私こう見えても女だよ」
「そうだな」


何が悲しくて異性に腹を観察されねばならんのだ、と瑞姫は大袈裟に溜め息をついた。

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