黒姫

そして放課後になった。


ほとんどの生徒が部活に行くなり帰るなりして、ほんの十数分前の騒音が嘘のような学校。

運動部の掛け声だけが響いていた廊下に、二組の足音が鳴った。


言わずもがな、薫と鈴羅である。



ひとつずつ教室を覗いては、飽きることなく丁寧に説明していく鈴羅に、薫は呆れに近い感嘆を抱いた。


ここまで真面目な女子高生も、今時珍しいんじゃないだろうか。

< 11 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop