黒姫
深く追及することはせず、那央は透の部屋を出て行った。
再びひとりになった広い部屋の、ベッドに倒れ込んで天井を睨みつける。
「……俺に何が出来るんだよ……」
思わず漏れた独り言に頭が痛くなり、ベッドの上で膝を抱えた。
「本当……何が出来るっていうんだ」
せいぜい瑞姫が無理をしないように気を使う程度しか出来ない。
瑞姫が受け身である事には介入出来ないのだ。
那央が出て行ってからしばらく、透はそうして頭を抱えていた。
翌日には更に頭痛の種が増えることも知らずに。