黒姫
押さえ付けている腕を外そうと藻掻くも、押さえ付けているのは男子だ。
男女の力差でまったく身体を起こすことができない。
「きゃははっ、いい様ね!」
叫んだ女子が、思い切り雪玉を投げ付けてきた。
幸い、石などの仕込みはなく、純粋な雪玉だったものの、胸に直撃すれば息も苦しくなる。
ぐっ、っと息を詰めた瑞姫の体温で、雪が少しずつ溶けてきていた。
露出した首にぐちゃぐちゃと溶けかけの雪が触れ、冷たいを通り越して最早痛かった。