黒姫

声の出し方がわからない。
息の仕方すらわからない。

思考が目茶苦茶になって、全ての感情を押し退けた恐怖で身体の自由が利かない。
押さえ付けられるまでもなく、瑞姫は動けなかった。


「トラウマ……って意味ならこれ以上ないだろ」
「ゲスいなぁ」
「何だよ、乗り気なくせに」
「ま、好きにすりゃいいだろ」


会話が遠い。

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