黒姫

しばらくして、漸く落ち着いた瑞姫が、呟くように言った。


「……ごめんなさい、那央兄」


恐らく、無意識で放った言葉に、香奈は「大丈夫だよぉ」と笑う。


「那央兄、打たれ強いからねぇ。お姉ちゃん、立てるぅ?」
「うん。……ごめん、香奈」
「私より里沙に謝ってあげてねぇ」
「……そうだね」


まだ身体のふらつく瑞姫を支えながら、ゆっくりと“家族”の待つ家に向かった。

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