黒姫

今もまだ、振り払ってしまうかもしれない。
那央も、透も。

大切な“家族”なのに。
誰よりも心を許しているのに。


怖い。
自分が穢されるよりも、自分が“家族”を、誰よりも大切な人達を、傷付けることが怖い。
何よりも怖い。


シャワーを止めて、風呂場の備え付けの鏡を覗き込んだ瑞姫の顔は、ここ5年で1番酷い顔をしていた。

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