黒姫

軽く頭を下げた鈴羅の表情を見て、瑞姫は軽く笑った。
……その学校では珍しい純粋な笑顔に、鈴羅と真奈が呆気に取られていたが、瑞姫は気付いていない。


「飯島、少し表情硬い」

いいよ別に謝らなくても。


瑞姫から発された言葉に嫌味がなかったことに救われる。

明らかな八つ当たりだと自覚していても、5年かけて積み重ねられた恨みつらみは消えていない。
なかったことにして屈託無く謝ることなど出来るわけがないのだ。

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