黒姫

「私が嫌いなのは仕方ないから、それは謝らないでいい。その代わり、私はあなたを暫く許さない」


まるで――これで同等だというような言い方をして。
同等でないのは鈴羅には分かっている。

鈴羅の八つ当たりは、しなくても良かったものだ。
嫌いなのは仕方ない、でも八つ当たりする必要はなかった。
その代わり暫く許さない、当たり前じゃないか。
八つ当たりされ、恐らく1番大事なところを傷付けて、

――許してくれるわけがない。

しかも、それだけではないのだ。

いじめを放置したこと。
クラスメートの行為に口を挟めなかったこと。

後ろめたいことをしていたと、今更思う。
後ろめたい感情に気付かないふりをしていたことすら後ろめたい。

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