黒姫

馬鹿みたいだと思っていたその場所は、一度知ってしまうと酷く心地好かった。

無意識の内に、頬が緩む。

それに瑞姫自身が気付いた時には他の3人も気付いていて、話すのを止めて穴があく程見詰められて、瑞姫は微かに身じろいだ。


「えっと……何?」


鈴羅と真奈は、何だかんだ言って確執が完全に消えた訳で無いので、瑞姫の問いに気まずげに一瞬顔を見合わせた。

その点、中立の薫は身軽だ。


「黒瀬さん、笑ってたら普通に人気でるよ。主に男子から」


微妙にズレた感想だが、それに後押しされるように、真奈が愚痴のように、鈴羅が素直な感想をそれぞれ吐き出した。


「……最初っからそーやってれば私が話し相手になんてなんなくて良かったのに」
「笑ってた方が友達出来ると思うよ」

< 223 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop