黒姫

少し捻くれた言葉もあったが、その言葉が無性に嬉しくて、照れ臭くて、瑞姫は今度は意識して笑顔を作った。


「んー、じゃあ少し、頑張ってみようかな」


否定的な言葉より肯定的な言葉の方がずっと嬉しい。
そんな当たり前なことにやっと気付いた。
気付いたからには肯定的に、好意的に見られたかった。

“家族”以外の前では久々の故意的な笑顔は、多分思ったより良い笑顔だったと思えた。

< 224 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop