黒姫

いつの間にか部屋に入って来ていたのは、青野透。
瑞姫と同い年で隣のクラス……というのは表向きの話で、実際は天宮家の一員、“家族”である。



「ついさっき。授業サボってたら、チャイム聞こえなかった」
「珍しいね。優等生のくせにサボったわけ?」
「どうせ自習だったし」



しらっとした顔で肩を竦める透は、中学の時から優等生だった。

優秀な成績、真面目な授業態度。
服装違反もしなければ、校則違反もしない。
いつも笑顔で頼りになる奴。

透の人物像に、マイナスな点はない。

多少前髪は長いものの、その髪を掻き上げる仕草が云々と、女子からの人気も厚い。



そんな表向きの透を、瑞姫はあまり好きではなかったりするのだが。

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