黒姫

「ああ、そうだった。……加藤薫って奴、知ってるか?」
「加藤薫……? ……そういえば、うちのクラスに来た転校生がそんな名前だったような」


なんでそんなことを? と首を傾げると、微かに眉がしかめられた。



「なんか妙な顔で俺のこと見てきたんだよ。鞄から見えたノートの名前が加藤薫だったから、瑞姫が何か知らないかと思って」


期待してなかったけど、知ってたんだな。と意外そうな顔を向けられる。


「なんでだろうね」
「さあな、知らね」



「2組の転校生ね……覚えとく」そう言って、今度こそ透は部屋を出て行った。

< 30 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop