黒姫
「瑞姫。どうしたの」
「……え? 何が?」
無意識に緩んでいた頬を咄嗟に引き締めて、瑞姫は唐突に声を掛けてきた里沙に答える。
「なんか、瑞姫。楽しそうだから」
引き締められた頬は、あっという間に再び緩められることになった。
「学校、久しぶりに行ったからかな……。みんなといるのが、すごく楽しい」
「やーだ、お姉ちゃんってば。照れるぅ」
香奈に頬を突かれて、お返しに髪を掻き混ぜてやったら、
「きゃー、お姉ちゃんが頭撫でてくれたぁ!」
にっこりと素晴らしい笑顔を向けられた。