黒姫
『私の“家族”を……馬鹿にしないでよ!』
そう言って、瑞姫は教室を出ていった。気まずそうに静まり返っていた教室に、ざわめきがもどり始める。
そんな時、誰かがこんなことを言った。
「何あれ。感じ悪ーっ」
気まずさを忘れるために言ったであろう、何気ない言葉だった。
それに同調するように、幾つもの声が、言葉を発する。
「ていうか何、あれ。勝手に言うだけ言って」「前から思ってたけど、黒瀬って空気読めねぇよな」「言えてる言えてる!」「ていうか、もうウザいよね、アイツ」……
「消えればいいのに」
一瞬、再び教室が静まった。