黒姫
第4章
瑞姫は鈍感な訳では決してない。
敏感かと言われれば微妙だが、他人の悪意に関しては敏感と言っても過言ではないだろう。
だからその日、教室に入ってすぐに、自分に向けられる悪意に気が付いた。
今までに感じなかった訳ではない。
でも、こんなに強く向けられたのは、多分ここ数年で初めてだ。
昨日のあれが原因だろうか。
昼休み終了間際の、あの口論。というよりかは口喧嘩。
激昂した瑞姫は、鈴羅に暴言を吐かなかっただろうか。
瑞姫自身は頭に血が上り過ぎてよく覚えていないのだが、多分吐いたのだろう。