黒姫
そう思った矢先だった。
バチリと磁石が引き合うように、目が合った。
瑞姫は無意識に呼吸を止める。
前言撤回。
絶対クラスになんて馴染めない。
馴染んだフリをして、きっと冷静に傍観する、そんな人間だ。
そこまで考えて、瑞姫は思う。
偶然にも加藤薫が同じことを思っていたことには気付かずに。
好きにはなれない。
嫌いにもならないだろうけど、好きになることはきっとない。
クラスに馴染めない2人にしっくり来る言葉は、皮肉にも『当たり前のクラスメイト』だった。