黒姫
一部例外を除いた周囲の席からの嫌がらせを受け流すこと数時間。
漸く昼休みの時間になった。
大半のクラスメートの予想と視線を無視し、瑞姫はいつも通りに机の上に昼食を広げる。
ちなみに今日の昼食は、近所のコンビニで買った焼きそばパンとメロンパンである。
もそもそと焼きそばパンを食べながら、左手で行儀悪く頬杖を付く。
そういえば、いつも教室で昼食を取っている鈴羅と真奈がいない。
流石に昨日の今日では気まずかったのだろう。
焼きそばパンを食べ終わり、メロンパンを半分食べて、残りは鞄に仕舞った。食欲がない。
と、不意にクスクス笑う声と共に、嫌な予感がした。
咄嗟に鞄を持って席から飛びのく。
パシャッと地味な水音を立てて、水が散った。
避け損ねて、瑞姫の上履きに水が浸みる。