黒姫

ハーフか何かだろうか。
日本人離れした淡い金髪に、碧の瞳。
幼さを残した顔に、先程の話題での照れを映して微かに赤面している。



恐らく、彼女が飯島鈴羅。確かに可愛い。



「君が飯島さん?」
「へ? ……っあ、うん。飯島鈴羅。よろしくね、加藤君」



声を掛けると、予想外だったのか返事が遅れる。

それでも笑顔で返答した鈴羅に、周りが湧いた。



「鈴羅ってば可愛いー」


薫の後ろに座っていた女子生徒からのからかいを含んだ口調に、鈴羅は膨れて声を上げた。


「もー、皆うるさい!」


もっとも、その顔が赤らんでいるので、威力は全くなかったが。




周りの騒ぎに鈴羅は、薫に申し訳なさそうな顔を向けた。


「ごめんね、加藤君」
「大丈夫。にしても……飯島さん、人気だね」


純粋な褒め言葉に、鈴羅はまた頬を染めた。

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