黒姫

「……あそ。わかってるなら話し掛けないで」


意外にも的を得た返答に、一瞬言葉に詰まる。

あなたも私に意識を向けさせている原因だ、と言外に告げて、黒板を消す作業に戻った。


そんな瑞姫の後ろ姿に、右手でシャーペンを回しながら、薫は尚も話し掛けて来る。



「助け求めれば、助けてくれる人、いると思うけど?」



何言ってんだコイツ、と内心で思いながら、その言葉は聞かなかったフリをした。

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