流れ星☆彡
優太のあんな声は聞いたことがない。


自転車を飛ばして5分。


優太が住むアパートのインターフォンをならした。



『優太っ!』



顔を出した優太に飛び付いた。



『絢華、来てくれたのか』



そう言って部屋へ入れてくれた。


静まり返った部屋の中で、優太の悲痛に満ちた声が響き渡った。



『親父が、出ていった』


『えっ』



優太の両親は優太が中二の時に離婚して、お父さんと一緒に暮らしてるって、優太からは聞いていた。


そのお父さんが出ていった?



『な、んで?』


『わかんねぇ、……置き手紙一つだけが残ってた』


『……』



かける言葉が見つからなかった。


優太はあたしをキツく抱き締め、我を忘れたように深く口付けてきた。



『俺にはもう、……絢華しか、いねぇ』



あの時の切ない顔、寂しそうな声は、今でもあたしの心を痛いほどに締め付ける。
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