流れ星☆彡
「いいんだよ。絢華、後ろに乗れよ。中学最後の日、俺が送っていってやる」



涙が出た。


こうやって、遅刻する理由があたしにあったんだと、心がジンと熱くなる。


優太はほんとに優しくてあったかい。


自転車の後ろに乗って、優太の腰に腕を回し、その背中に寄り掛かりながら、数日前のことを思い出した。






桜ヶ丘受験当日……


朝玄関を出ると、今日みたいに外で待っていた優太。



『絢華、頑張れ』



そう言いながら、あたしの唇に触れるだけのキスを落とした。


そのあと、手を出すようにいわれ、広げた掌に乗せられたものは……


“合格祈願”のお守り。


そのまま、桜ヶ丘高校まで一緒に行ってくれた。


優太は午後から部活だったらしく、終わった後一緒にお昼を食べて別れた。


受験日の二日間とも。






「絢華は泣くんだろうな。俺の卒業式でも泣いてたもんな」


「えっ、なんで?」



知ってるの?


あの頃はまだ付き合っていなかったのに。



「式の途中で絢華を見つけてさ。なぜかすっげえ泣いてて……」


「見られてたんだ。なんか、恥ずかしいね」


「はは、あん時は何で泣いてたかわかんなかったけど」
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