理解
「そんなの……」
ミノは俯き、微かに拳を震わせる。俯いているため、どんな顔をしているのかは分からない。
だが、声が震えていた。
「ミクが、傷付かないようにするためだ」
『え…?』
ミクは驚きの声を上げる。にわかに信じがたいことだったが、ミノが彼女に嘘をついたことは一度だってなかったと考えると、すんなりとミノは本当のことを話していると信じられた。
ミクはミノの心を覗いたりはしない。同じ人間だが、なんだか罪悪感が沸き起こってくるのだ。
だから、ミノが何を考えて行動しているのか、彼女には分からない。
けど、その分からなかったことをミノはこれから話してくれるのだと、無意識にごくりと喉を鳴らした。