理解
「お前はアタシのことでさえ、傷ついた。……優しいからな」
眉間に眉を寄せ、自嘲気味に口元に笑みを称える。
「だからこそ、許せなかった。お前を裏切った親も、友人も、恋人も」
憎悪を含んだ瞳で、刺し殺した男を凄い形相で睨みつけたミノ。
『ミノ……』
ミクは彼女の言葉に瞳を揺らす。
「…この男だって、アタシの存在にもっと早く気付いていたら、裏切っていただろうな」
『そんなこと…っ!』
「言い切れるか?」
『……っ』
ミクはグッと押し黙った。彼女も薄々気付いていたのだ。誰も、自分たちを理解してくれないということに。
けれど、ミクは理解して欲しかった。だから傷つこうとも立ち上がり、理解してくれる人が現れると信じてその不安を諦めを覆い隠した。