理解

「……腹がたった。理解してやるとほざきお前に期待させたコイツが」


理解なんて出来ないくせに、と見下した、色のない瞳で男に視線を注ぐ。その瞳はとてもじゃないがミクが真似出来ないほどに鋭かった。


「コイツだけじゃない。今までアタシが殺してきた奴だって、野放しにしていれば最終的にお前を傷付けていたはずだ」

『…』


(……時にヒトは、残酷なものほど美しい。この男のように、血にまみれたなら尚更…)


ミノはスッと目を細める。綺麗なものは好きだ。その価値観はミクと違えど、ミノもその感覚は持っていた。


(…だが、ミクが残酷になったところで、アタシにとってソレは穢らわしいだけだ)


「………ミク」


静かに、自分の片割れの名を呼ぶ。


「……お前は誰かに理解してほしいのだろう?」

『え…?』


唐突なことに驚きをあらわにし、声を漏らすミクにふわりと優しく微笑む。


「ならば、アタシが理解してやる」

『ミノが……?』


不安そうに眉を寄せ、縮こまっている身体を抱き締めて恐る恐る顔を上げた。実際にはそれは表面には出ていないが、ミクのことは手に取るように分かるミノ。

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