Message 〜キミに伝えたいコト〜
「おやおや、
桜空姫はついに王子さまが迎えに来ちゃったか〜」

ワシの息子が、悲しむな……
なんてブツブツいってる遠藤さん。

きっと、今の私はゆでダコみたいな顔をしてると思う。


「誰?」
さっきまでの優しい翔くんはいなくて…
ブラックオーラでまくりで、怖いんですけど……



「ワシは、桜空ちゃんの見張り番みたいなもの。
遠藤と言います。腎臓が悪くて、入退院を繰り返してるんじゃけど、桜空ちゃんがいるから退屈しないわな。」


ガッハッハ〜と笑う遠藤さんに、

「はじめまして、久野翔です。
これからは、俺が桜空を守りますから…だから……」


「そうかそうか、ワシの役目はやっと終わるんじゃな。

あの日は、何年ぶりかで最初から積もりそうな雪がチラついてて、
入院生活が長くて退屈していたワシは、こっそり抜け出した先から、帰ってきた時だった。

1時間くらいだったのに、この中庭一面がうっすらと白くなっていてな、
そんな景色も珍しかったから、しばらくぐるーっと見渡してた。

そんなワシの視界に、いつもとは違う光景が見えて近づいてみたら、女の子がうつ伏せで倒れていたんじゃ。

周りと同じくらいの雪を被っていたから、抱きあげた時には冷たくて…
雪だけはらって、急いでたてものの中に連れて行ったんじゃよ。」
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