二手合わせ



横の銀色が刀だと分かり、恐怖で身体が震える。

唾を呑み込むのも難しい。
何かを訴えようと口を開くも


「あ、…」


震える音にはなっても言葉にはならない。

目の前の男は、木から刀を抜き、鞘におさめて、それから私の腕を掴む。

大きな手が、手錠のように私の逃げる術を奪った。


「ついてこい、逃げんなよ」

「っ、」


私、何もしてないのに…。

来たくてこんな処に来たわけじゃない。
怪しい格好って言っても、平成じゃ当たり前。

なのに、なんで。


反論したくてしょうがない。

でも、腸が煮えくりかえるほどの怒りも、肝を冷やす冷たさがその熱を冷ます。


この男から逃れるためにはどうしたらよいのか分からない。

打開策が見つからないまま、私は男の後をついていった。



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