二手合わせ



これからどうなるんだろう。
そう考えると顔から血の気が引く。

あの銀色の刃で皮膚を引き裂かれるのだろうか。

或いは拷問か。


どちらにしろ恐ろしい。



縛られた両手首を動かす。
縄じゃないから痛くはないものの、このままじゃ逃げるときも走りづらい。

だけど、やっぱり男が結んだ帯の結び目が弛むことはなくて。

もう一度、ため息をついた。


「……泣くぞコノヤロー」


脳内で処理出来る情報量じゃない。
むしろキャパオーバー。

処理出来なかった情報が涙に変わって眼球に水の膜を張る。

流しはしないけど

悔しいのか、悲しいのか、怖いのか、自分でもよく分からない涙。


一番の理由は
おそらく、理不尽な仕打ちに対する訴え…だと思う。



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