二手合わせ
カチ、カチ、
私の腕時計が音を刻む。
デジタルではないものの、太陽電池で電波を受信するタイプの物だ。
見れば、この部屋に連れてこられてから、10分は既に過ぎている。
あの男に、会いたくはない。いきなり刀を顔面の真横にぶっ刺されたのだから。
でも、男が来ないとこの状況を打開出来ないのも事実。
「……はー」
足の裏が痛くなってきた。
片足ずつあげて、休ませていると、バンッ!と叩きつけるように障子が開いた。
…び、ビックリした。
入ってきたのは、やはりというべきなのか、あの男だった。
ふい、と目を逸らしてしまう。
たがそんな私にはお構い無く、男は
「今から副長の所へ行く」
と言って、縛られた私の両手を掴んで歩き出した。
ちょ、っと…!
副長って誰……っていうか、転けそうっ!