二手合わせ



バランスを保ちながら歩くためには両手の自由が重要だ、と身に染みて解った。

そして、目的の部屋に着いたらしく、男は障子を開ける。

すると、煙が廊下へと流れ込んできて


「う、ゲホッ」


思わず噎せる。
男も袖で口と鼻を覆っていた。


「…副長、煙管を吸うなら、きちんと換気しろよ」

「ん?ああ、わりい。忘れてた」


煙が充満している部屋に居たのは、長い髪をオールバックにして、役者とかにもなれそうな整った顔をした男。

しかしどうやら、髪を何かで固めているらしく、本来ならサラサラだろうな、と思った。

文机に向かって座り、顔だけをこちらに向けているので分かりにくいが、たぶん隣の男に負けず劣らずの長身。



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