二手合わせ
そこまで考えて、ふと、隣の男を観察してみた。
なかなかに目付きが鋭い悪人顔だが、パーツは整ってる。
さっきまで、強面過ぎて見れなかったが、「副長」とやらを見ている横顔なら、ビビることなく観察出来た。
……目付きが改善されれば物凄くモテそうな人。
「で?新八、その女は何だ」
「…山崎に頼まれて、薬草を取りに林の近くに行くと、この女がいたんだ。格好も怪しいし、俺を見て逃げたから捕まえた」
こんな会話がされ始めると、ほぐれかけていた身体が再び硬直した。
副長、と呼ばれた男は、身体ごとこちらに向いた。
見定めているような、鋭い視線が刺さる。
「副長」はしばらくして口を開いた。
「女、名前は」
「…星井、恵梨…です」
「どっから来た」
「………」
分からない、と言えば怒られるだろうか、はたまた斬られるだろうか。
「答えられねえのか」
「……や、あの」
私だって知らない、分からないのに。
どうやって答えろと。