二手合わせ



そこまで考えて、ふと、隣の男を観察してみた。

なかなかに目付きが鋭い悪人顔だが、パーツは整ってる。

さっきまで、強面過ぎて見れなかったが、「副長」とやらを見ている横顔なら、ビビることなく観察出来た。


……目付きが改善されれば物凄くモテそうな人。


「で?新八、その女は何だ」

「…山崎に頼まれて、薬草を取りに林の近くに行くと、この女がいたんだ。格好も怪しいし、俺を見て逃げたから捕まえた」


こんな会話がされ始めると、ほぐれかけていた身体が再び硬直した。

副長、と呼ばれた男は、身体ごとこちらに向いた。

見定めているような、鋭い視線が刺さる。

「副長」はしばらくして口を開いた。


「女、名前は」

「…星井、恵梨…です」

「どっから来た」

「………」


分からない、と言えば怒られるだろうか、はたまた斬られるだろうか。


「答えられねえのか」

「……や、あの」


私だって知らない、分からないのに。

どうやって答えろと。



< 16 / 77 >

この作品をシェア

pagetop