二手合わせ



「……もう一度訊く、テメェどっから来たんだ」

「………」

「言えねぇようなことなのか?」


疚しいことがあるから言えないわけではなく、どのように伝えたら良いのか、伝えてもいいことなのか。

全部分からないから黙っておいた。


すると、『副長』は『新八』に言った。


「閉じ込めておけ、夜には部屋を決める。それまでは…、わりぃが新八の部屋に」

「うす」


『新八』は来た時同様、私の腕を掴んで歩き出す。―――が、


「っ、ちょい待て」

「副長?」

「女、腕につけてる奴は何だ」


『副長』の視線をたどると、私の手首についている腕時計を見ていた。

何だ、って言われても…


「時計…ですけど」


何故そんなことを訊くんだろう、と疑問に思いながら答えると、『副長』も『新八』も目を丸くしていた。

え?……何?
驚くようなことじゃないよね。



< 17 / 77 >

この作品をシェア

pagetop