二手合わせ



「刀を、持った人から逃げて…何が駄目なんですか。っ私、私は、何の武器も持ってなくて、だから、逃げるのは当たり前じゃないですか」

「…じゃあ、その格好は何なんだ。洋装…ってわけでもなさそうだなぁ」

「そ、れは…私が居た所では普通で」


フーッと『副長』がため息と共に紫煙を吐き出す。


「だから、その『居た所』が何処なんだっつってんだ」

「………、っ」


振り出しに戻ってしまった。

未来から、150年後から、来たんです。なんて

信じてもらえるはずがない。


怪しい、と疑われている今なら、尚更。

グッと唇を噛み締める。
痛い、けど
そうでもしないと泣きそうだった。


「…新八」

「ああ、失礼する」


引かれる腕をただ憎々しげに見つめることしか出来なかった。



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