二手合わせ



**********
(side:マキ)


「ごめんなさいっ…!!」


私は目の前の二人に頭を下げる。

それこそ額を地面に擦り付ける勢いで。


「……すまないが、今は帰ってくれ」


そう言ったのは、恵梨のお父さん。

私が平身低頭しているのは恵梨の両親に対してだ。

恵梨のお母さんが涙を目に浮かべて喋り出す。


「…頭を上げて、マキちゃん」


だけども私は頭を上げない。

上げたって…合わす顔がないもの。


「ごめんなさい!!本当に…!」

「マキちゃんのせいじゃないのは分かってるの…分かってるのよ、本当に」


だけどね、と恵梨のお母さんは続ける。


「どうしても、今日。マキちゃんが恵梨を誘わなかったら、行くのがあの店じゃなかったら……そう思わずにはいられないの」

「っ、ごめんなさい」

「マキちゃんは悪くないの。それは分かってるの……だけど認められないの」


お願いだから、今は帰ってちょうだい。
そう言われて、私は俯いたまま恵梨の家を出た。




恵梨、なんで居なくなったんだろう。

悲しい、怖い、理解出来ない。
全部混ざって、吐きそうで、泣きたくなる。


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