二手合わせ



そして、夜。

布団にくるまる。
(この時代は)春だがやはり太陽が沈むと寒い。


障子の向こう、月明かりのせいか、人の陰が。


――見張られている。


そう実感した。

ああ、もう。
こんな小娘に、何が出来ると思ってるの…!


私、何もしてないのに…!

あの切っ先が木に刺さったとき、本当に殺されると思った。


抵抗とか、脱走とか、……出来るわけないじゃない。

ただの一般人。
刃物とか
カッターや鋏、包丁しか見たことない。

でもそれは人の生活を便利にするための物。


…人を殺すことを目的として創られた物に恐れを抱くのは当たり前じゃない。




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