二手合わせ
俺は風呂に入ったせいでサラサラに戻った髪を掻き上げ、
「まあ入れ」
と言って山崎を招き入れた。
今日は寝るのが遅くなるな…。
そう思いため息をついた。
俺と山崎は向かい合って座り、胡座をかく。
そして、山崎が口を開いた。
「…今日も飯、食わんかったらしい。永倉さんが言いよった」
「……今日も、か」
あの時、本心を訴えかけてきたあの女。
女…つーか、まだガキだな。
泣きそうで、泣かなかった。
「夜は俺が見張ってん。けどずーっと縮こまっとる。アイツ本当に何も出来ん、何の力もないと思うで」
「だけどな、疚しいけとがなけりゃ答えられる質問に答えねぇ」
ということは何かを隠してる。
と、俺はふんでいる。
「なんの教養もなさそうやし、にしては時計なんか持ってんやから、分からんわぁ」
山崎の言葉に頷く。