二手合わせ
スカートの中で、ケータイが震える。
…メールだ。
「ん?親?」
「いやー、弟」
「あー、真咲クンか」
弟である真咲は中学三年生。
ちょっと生意気。
メールを確認すると
≪道草くってないでさっさと帰ってこい。あ、ついでに牛乳買ってきて、って、母さんが言ってた≫
「………」
訂正。くそ生意気なガキ。
絶対、牛乳は真咲が頼まれたことでしょう!?
「真咲クン、なんて?」
「さっさと帰ってくるついでに牛乳買ってこいって」
「パシりとか」
笑うマキは、じゃあそろそろお勘定しよっか。と言ってレジへと歩き出す。
私もスクールバックを持ってマキの後に続くも
「あ、ケータイ忘れた。取ってくるから、マキ、お勘定しといて。お金は後で払うから!」
「おー、いってら」
えーと、確かこっちの窓際…あ、あったあった。
さて戻ろう、としたその時
「っ!恵梨!危ない、逃げて!」
マキの焦った叫び声が聞こえて、意識がなくなった。
「うそ、でしょ……恵梨」
呆然としたマキの声に、応えることは出来なかった。