二手合わせ
1、互疑
――
――――…
『…ひ…り』
声、…いや、音が聴こえる。
優しい音――懐かしい。
初めて聴く音なのに。
「……誰?」
うっすら目を開ける。
だんだんハッキリしてくる視界に飛び込んできたのは
「え、……桜?」
満開の桜。
そして、
「あ、ダメだ、幻が見える」
『ちょっと!幻じゃないわよ!』
手のひらサイズの高飛車そうな女の子。
え、なにこのファンタジー。
「…此処、何処?」
『あたしの名前はアカネ!!アカネって呼んでね!!』
「聞けよ」
知りたくもない名前を知りました。
手のひらサイズの女の子はアカネというらしい。
私は再度質問する。
「アカネ、此処は何処?」
桜があるから、当たり前だけど、日本…のはず。
なのに、漠然と、でも確かにイヤな予感がするの。