二手合わせ
ドタドタと足音をたてて奥から現れたんは松本良順。
新撰組は大概、この先生に世話になっとる。
それに、俺に医術の基礎を叩きこんでくれた人や。
「おお、山崎くんじゃないか!!どうした」
「それがなぁ、良順さん。ちょいややこしい事になっとるんよ。とりあえずこの子、診てやってくれへん?」
恵梨ちゃんの背中を押して、良順さんに見せる。
良順さんはジーっと恵梨ちゃんを見た後に、俺に訊いてきた。
「この子の病状は?」
「失明や」
「…なんだって?ちょっと、娘さん、こっちに来て座りなさい」
良順さんは恵梨ちゃんの手を引いて恵梨ちゃんを座らせた。
「いつから見えなくなったんだい?」
「…今日の、朝からです」
「そりゃまた急だな。前から見えにくかった、とかないのかい?」
診察が始まってもうたから、俺は黙って外に出た。