二手合わせ
外に出て、扉に寄りかかって空を見た。
…普通やなぁ。
髪、短いけど、黒いしなぁ。
南蛮人みたく奇抜な色とかしてないもんなぁ。
…奇っ怪な着物やったけど、俺の着物きせたら、普通の女の子や。
髪と着物を除いたら、『普通』なんや。
「ああでも、出身地が分からへん言うとったな…」
泣きながら、自分は何もしとらん、自分でも分からへんと訴えてきた恵梨ちゃんを思い出す。
――『貴方たちなんて、大嫌い…!』
「大嫌い…か」
涙も拭かんで、必死に俺に言ってきた只の女の子。
俺らの言動から、少ない情報で
自分の立場を把握しとるんは、凄い。
時計を持っとる、身分の高いかもしれん、何もしてない只の容疑者に手ぇ出せんねん。
新撰組の立場は下にはめっぽう強いが上には弱いからな。
ふぅ、とため息をついたとき、寄りかかっていた扉が開いた。
「おわっ!?ちょ、開くんなら一言言えや!」
「寄りかかってる方が悪い。ちょっと、話がある」
「中に入らんの?」
「…いや、娘さんが居らん所で話したいから、外でいい」
良順さんはそう言って、俺の横に来た。