二手合わせ
3、転換

罪受

(side:マキ)


恵梨と電話がつながってから数日経ったある日の帰り道。


「マキさん」


背後から声をかけられたので、振り向くと


「……っ、あ」


真咲くん…恵梨の弟がいた。

緊張で体が硬直する。
―――彼には、まだ謝っていないから。

恵梨の両親に謝罪をしに行ったあの日。
真咲くんは、いなかった。

自室にいたのか、外に出ていたのかはわからないけど。


「あ、あの…さ、真咲くん」

「………」

「あのさ……」

「……」


…無言が怖い。


「あのね、あの……真咲くん……。ご、ごめんね?あたしのせいで……恵梨は……」


いなくなっちゃったから、と言いながら、次第に俯いてしまう。

しばらく無言が続き、真咲くんが、ハァッ、とため息をついた。

肩がビクッと跳ねた。
お、怒られる……よね?



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