左利きの君へ
さっきの子…誰?
こんなに短い言葉なのに。
その言葉を切り出す勇気が
私にはない。
変な事なんてないと思う。
だけど、もしかしたら、
もしかしたら。って…
「和香?どうしたの?ボーッとして」
「えっ?あー。何でもないよ」
やばいやばい。
考えすぎて無言になってたよ。
「あー、あ!今日は、いろんな人に
話しかけられて疲れたよ!」
サクが伸びをしながら言ってきた。
確かに…ずっと周りに誰かいた。
「お疲れ様です!」
「おー!」
サクが笑顔で答える。
それにしたってなんだろう。
この胸の高鳴りは…