左利きの君へ


長い廊下を無言で歩く私たち。

「あ。そういえばさ!」
突然、雨宮桜くんが口を開いた。

「はい?」

「君の名前、聞いてなかったよね?」
笑顔で聞かれた。
グイッと顔を近づけて…

自分でも分かるくらいに、
顔が熱くなる。

「お、大野和香っ!」
後ずさりしながら答える私。

「そっか!和香ちゃんね♪」
そう言って彼は再び歩き出した。

私も、慌てて歩き出す。

何なの?この人…
なんか、心臓ドキドキいってるし。

なんかもう。
ワケワカンナイ!

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