左利きの君へ
「ほらほら!着席っ!
1学期もあと、残り2週間だ!
気を引き締めろ~!」
すると先生は廊下に向かって
手招きした。
「入ってきなさい」
「なになに?転入生?」
教室がざわつく中、
誰かが入ってきた。
私は一瞬、目を疑った。
だって、だって…
「でわ、挨拶を!」
「どうも、雨宮桜っていいます。
よろしく~」
彼は頭をぺこりと下げた。
その瞬間。
「きゃーー!めちゃイケメンじゃん」
教室中の女子が奇声をあげた。
愛美は目がハートだ。
「じゃー、後ろの空いてる席に
座って」
はーい
と、雨宮くんは返事をし
歩き出した。
女の子達はずっと
雨宮くんを見つめている。
THE・女の子!
って感じで。
「あ!和香ちゃんだぁ!」
……え?
みんなが私を一斉に見た。
えーーーー!
「いやっ!あのっ、」
私が慌てていると、
「やったー!和香ちゃんと
同じクラスじゃん!ラッキー♪」
彼は私の手を握り
子供のようにはしゃいでいた。