左利きの君へ

ー放課後ー

「おーい!大野和香ぁー」

先生から呼ばれた。

「お前、学級委員だよな?」

「そ、そうですけど…」

すると、先生がニタッと笑い
私にファイルとプリントを
渡してきた。




「なんで、私がファイル
整理なんてやんなきゃいけないの?」

学級委員だからって、雑用ばっか!

「はぁ~っ」

大きくため息をついて、
教室の隅っこで一人
ファイル整理をやっていく。

「和香ーっ!」
いきなり後ろから
目を隠された。

「え?え?え?」

パニック!私、パニック!!
だって、隠してる人が
分かったから。

大きくてこんなに、ゴツゴツ
している手の持ち主は…

「やっほい!」

雨宮くんだけだ。
彼は笑顔で
私の隣の席に座った。

「何やってんの?」

「ファイル整理だよ。
学級委員だからって、
雑用ばっかり押し付けてくんの。
ここの先生はっ」

また、怒りがこみ上げてきた。

「それは、お疲れさん」

彼はそう言って、
プリントをファイルに挟んでいく。

「別に手伝わなくて
いいよ⁉早く帰りなって!」

私は慌てて言った。

「いいんだよ。俺がやりたいの!
ホラ!口じゃなくて、
手を動かしたまえ♪」

何も言えず、
私もプリントを挟んでいった。
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