左利きの君へ


「ふぅーっ!終わったー!」
伸びをする雨宮くん。

「手伝ってくれてありがと!
本当に助かったよ!」

19時までかかると思われた
ファイル整理。
時計をみると18時15分。

「なんか、お礼させて!
あ。ジュースおごろうか?」

私は財布を取り出そうとした。

その時。

グッと手を引っ張られて、
気がつくと雨宮くんの胸の中。

「あ、雨宮く、ん?」

彼は私を抱きしめたまま
動こうとしない。

逃げようとしても
力が強いため逃げ出せない。

「ちょっと!雨宮くん?
離してよー!」

ジタバタする私。

「じゃー、雨宮くんじゃなくて、
サクって呼んで?そしたら離す」

え?
恥ずかしくてそんな事言えないよ!

でも、このままだったら
私ドキドキして死んでしまいそう。

「さ!サ、クッ…」

「え?聞こえない!」

ちくしょう!コイツSだなっ!

「サク!」

そう言うと、彼は離してくれた。

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