捕まっちゃって、奪われて。
今更になって自覚した。
そうだ、今から俺、犯罪者になるんだよ。
突然馬鹿みたいにガタガタ震え出した手を止めようと、もう片方の手で抑える。
母さん、志穂、ごめん。
もう次会うのは、いつになるかわかんねーかも…。
覚悟を決めて、コールする。
――prrr…prrr…
ドクンッと跳ね上がる心臓。
真冬なのにドッと噴き出る汗。
『…はい、もしもし?』
「…っ!!」
繋がった…!
『どなたです?』
「えー…えっと、東雲さん、ですか?」
『…ええ、そうですけども』
より一層、心拍数が上がって行く。
冷たい声に、緊張感が高まる。
「えっと、簡潔に言いますと。東雲ユズさんを今預からせて頂いておりまして…」
『…へえ、そうなんですか』