捕まっちゃって、奪われて。
「うわ、…なんで?」
思い当たる節なんてない。
仕事と彼女の両立だって…、出来ていた筈…なのに。
「わけわかんね…」
しゃがみ込んで頭をガシガシ掻いた。
そんな、たった1分の最低なクリスマス。
* * *
[side:Yuzu]
「……っ、はぁ……っはぁ…」
苦しい。ただ、苦しい。
胸元に垂れ下がったマフラーを握りしめ、息が整うように落ち着かせる。
汗をかいているのに、暑いような寒いようなしゃんとしない体温。
頬に伝う雫が汗なのか涙なのか、それとも雪の溶けた水滴なのか。
ぐちゃぐちゃになった顔を拭って、やけに綺麗に光る月を見上げる。
「……もう、生きてらんないよ」
もし今の言葉が神様に届くなら。
神様は私を殺してくれた?