捕まっちゃって、奪われて。
生きていたって意味なんてない。
世の中光なんて微塵もないんだ。
16歳のがきんちょがこんなこと思ったら、
大人は「巫山戯るな」とでも思うのだろうか?
だって、しょうがないでしょ。
背中にも太腿にも頭にだって、もう治るのか分からない痣が沢山あるんだ。
全て、あの人達の手の形の。
『あんたなんて、産まれて来なければ良かったのよ』
ズキ、と響くようにまた痣が疼き出す。
…やだなぁ。
なんで生まれちゃったんだろー…。
そんなことを思いながら、生まれて一度も散髪したことのない長くて引っ掛かりやすい邪魔な髪を梳いてみる。
なんだかなぁ、私って、
ほんと……生きてる意味ないよね…。
「……はーぁ…」
溜息をついて、起き上がる。
どうして冬はこんなに寒いんだろう?
答えもくれず、ただ舞い降りる雪。